LEAF Vol.69 SDGs その2

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SDGs その2
LEAF Vol.69
from ヤングアダルトコーナー

「地球上のだれもが幸せに生きるため」に2030年までに実現させたい17の目標「SDGs(持続可能な開発目標)」。
「LEAF No.68」に続いて、SDGsの目標に関連する本を紹介する、第2弾です。

ためしてわかる身のまわりのテクノロジー

ニック・アーノルド 著 江原 健 訳 誠文堂新光社 検索
私たち身近にある便利な道具や技術。
この本では、建築・エネルギー・農業・ものづくり・通信・医療・輸送などで使われるテクノロジーを見ていくよ。
道具の起源である「くさび」から最新テクノロジーの集まり「宇宙ステーション」まで、テクノロジーの歴史やどんな所でどんなふうに使われているかなどを紹介するとともに、その技術に関わる、家でもできる実験や工作も掲載されているから、身の回りの様々な物や現象への理解が深まるよ。
この本の他に「子供の科学STEM体験ブック」シリーズとしてあと3冊出ているから、よければそちらも手に取ってね。

18歳からの格差論

井手 英策 著 東洋経済新報社 検索
現在、日本では貧困と格差が最大の社会問題になっています。
著者は現在の日本を分断社会と規定しています。
分断社会では平均的な所得層である「中間層」が貧しくなることで財政が悪化し、社会サービスは削減されすべて自己負担で確保しなければなりません。
中間層の人が貧しい人を批判し、政府をののしり、お年寄りと若者が対立するという分断社会です。
では、分断を乗り越え格差を是正するにはどうすればよいのでしょうか。
それは、低所得者に限定されていたサービスを国民全体に拡大し、その費用は国民全員が所得に比例して税金で負担するというものです。
これにより、税は、政府から一方的に取られる負担から暮らしのための分かち合いへと転換され、格差も縮小し全ての人が受益者となりいがみ合いがなくなる、と著者は提言しています。

アラヤシキの住人たち

本橋 成一 写真と文 農山漁村文化協会 検索
北アルプスの山裾にある長野県小谷村の山の中、山道を1時間半ほど歩いた場所に、知的障がい者や自閉症などのハンディを背負った子どもや若者たちを含めた男女の様々な人々が生活しています。
ここでは、全く違う考え方、生き方、感性、常識を持った人々がそれぞれの能力を尊重しあい、勝ち負けとか、だれが一番優れているとかそんなことを競い合うことがなく「人間はみんな違う。違う人間が同じ時間を共有し、共に生きよう。」という思いを込め、自然に根ざした人間本来の暮らしを実践しています。
この本は、そんな人々の暮らしぶりを、四季折々の美しい山里の風景とともにカメラに収めたドキュメンタリーです。

このTシャツは児童労働で作られました。

シモン・ストランゲル 著 枇谷 玲子 訳 汐文社 検索
ノルウェーに暮らすエミーリエは、自分たちの服が、途上国の子どもたちの過酷な労働の末に作られていると知り、そのことを世に訴えるグループの活動に参加することに。
一方、バングラデシュの12歳のリーナは、トイレに行く時間もないまま朝から晩まで、安い給料でTシャツを縫う日々を送る。
そんな二人の少女の姿が交互に語られる中、エミーリエの参加するグループの活動は、徐々に過激になり、過酷な生活の中でも、小さな恋に心躍らせていたリーナは、ある事故に巻き込まれてしまう。
欲しいものが安かったら喜んでしまうけれど喜ぶばかりでいいのかを問う物語だ。

グレタと立ち上がろう

ヴァレンティナ・ジャンネッラ 著 川野 太郎 訳 岩崎書店 検索
地球環境を、そして人類の未来を守るためには、もう一刻の猶予もないと、行動を起こした少女、グレタ・トゥーンベリ。
冒頭で、彼女の簡単な経歴に触れた後は、16の章にわたって、環境問題の「今」が、科学的なデータを挙げながら、各章3ページほどで語られている。
地球の温暖化は、多くの環境問題につながっていて、そしてその環境問題は、我々の快適な生活につながっている。
だから、我々が行動しなければならないのだと、この本は気付かせてくれる。
「そのうち」ではない。「今」動くことが求められているのだ。

海洋高校生たちのまちおこし

渡邊 憲一 著 成山堂書店 検索
いま、全国の市区町村のうち約3割が人口減少や高齢化などにより、地域が崩壊したり、自治体の経営が破綻したりする懸念があるとされています。
このような地方衰退の波は、この本で取り上げている海洋高校のある糸魚川市でも例外ではありません。
しかし、この海洋高校では「地域活性化に貢献できる学校」「地域活性化を担える人材育成」を目指した取組として、マコンブを使ったうどん、ヒラメを燻製にした生ハム、シロサケから抽出した魚醤油などを海産物から開発し、地域に利益をもたらしています。
地方衰退を食い止め、地方創成を成し遂げるには農林水産業の振興が重要です。
この本では、農林水産業を発展させるために高校生たちがまちおこしに奮闘する様子が、生き生きと描かれています。

ワンガリ・マータイ

筑摩書房 検索
砂漠化するアフリカの大地に植樹する活動を30年以上続けることで、資源を奪い合う紛争を未然に防いだとしてノーベル平和賞を受賞したケニアの女性、ワンガリ・マータイ。
彼女は、「MOTTAINAI(もったいない)」という日本語とその概念を世界に広めた人としても日本では知られている。
「MOTTAINAI」には、「REDUCE」「REUSE」「RECYCLE」の3Rに加えて、4つ目のR、地球資源に対する「RESPECT(尊敬)」が、含まれていると語った彼女。
まだ、イギリスの植民地だったケニアに生まれ、青春真っただ中に、国がイギリスから独立するという激変の時代を迎えた彼女が、いかにして緑の闘志となったか。その軌跡を辿ろう。

すべては平和のために

濱野 京子 著 新日本出版社 検索
時は少し未来の21世紀半ば。
国家間の戦争は無くなった(とされる)が、企業利益をめぐる対立から地域紛争は絶えず、その調停は民間企業が担う、そんな世界。
紛争を解決する企業の社長の娘・平井和菜は、国際貢献への意識が高く、いずれ父親の会社で働くつもりの17歳の高校生だ。
ある日、和菜の国際スピーチコンテストのスピーチに感銘を受けたからと、彼女に調停の依頼が舞い込んだ。
独立間もない小さな国の中で起こる紛争の現場に、調停員として立った和菜は、「平和のため」の様々な矛盾と複雑な現実を目の当たりにする。
与えられた情報だけではなく、自分で調べること、自分の目で見ること、自分で考えることの重要性を再認識したい。

私、日本に住んでいます

スベンドリニ・カクチ 著 岩波書店 検索
外国から来て、いま日本に住んでいる人たちは、日本でどのように暮らし、何を感じているのでしょうか。
あなたはそんな外国の人のことを考えたことがありますか。
日本には、これまで外国人を多く受け入れてきた経験はあまり多くありません。
しかし今、国際的に移民の問題が大きくなっています。
私たちも、この世界的な流れと無関係ではいられません。
著者のスベンドリニさんは自分の体験もふまえ留学生、写真家、DJなど外国から来た12人の体験に耳を傾け、多様な文化背景を持つ人々の声を通して多文化共生のあり方を考えます。
この本は、彼らの体験を共有し、より豊かな人間となるための気づきや力となればという思いが込められた一冊です。